砂漠のらくだ イラスト
水は生命の源[パート1]
*砂漠
 エジプト上空にはいり、一段と太陽の光が眩しくなってきた。眼下にはカーキ色の大地が広がっている。所々に淡い国防色のひび割れが見えるだけで、人の姿も動物も、木々の緑も水もない。ああ、これが砂漠なのだ。
砂漠を走るバス イラスト
 
 空港から冷房の効いた観光バスで、最初の観光地へとむかう。舗装されたハイウエイ。延々と続く乾いた地表。今にも崩れそうな岩肌に覆われた小山が、遙か彼方に見える。
 「あら、湖が」と、驚きの声をあげる観光客に「蜃気楼です」と、ガイドは応える。オアシスに辿り着いた旅人の落胆する様子が目に浮かぶ。なにしろバスは時速100キロ以上でもう3時間も走り続けている。景色は全く変わっていない。文明の利器を使わずして、このような所を旅することなど私にはできない。
王家の谷 イラスト
* 灼熱の地
 目的地である王家の谷に到着。暑い。持参した温度計は、摂氏48度。少しばかり埃っぽい緩やかな坂を、祭壇目指して登る。太陽の熱が運動靴を通すのであろうか、足の甲がじりじりと焼けつくように痛い。だが、巨大な岩山を掘り起こして造られた祭壇の中に足を踏み入れると、太陽光は遮断され暑さを忘れた。
 再び車中の人となる。「ああ、口がカラカラ」車内販売のペットボトルの水を口にす


る。日本では水など飲んだことのない私。汗もほとんどかかないのに何故か口が乾燥し、頻繁にペットボトルを口にしているのだ。気温の高いのと乾燥が原因なのだろうか?
  * 水は買うもの(水道水は危険)
 日本のレストランでは、オシボリとお水が出され注文を取る。しかしこの国では飲み物の注文から始まる。ビール?水?コーヒー?ジュース?
各種飲み物 イラスト

 酒はイスラム経では禁止されているが、観光客は別扱い。出された水は、ペットボトル入りである。食後に残った水を持ち歩くのには便利だが、グラスになれている私にはなんとも味気ない。
 ホテルでもペットボトルの水は必需品。水道の水さえ危険で、歯磨きのすすぎもペットボトルの水。食事の前の手洗いさえもペットボトルの水か、日本から持参したウエットテッシュを使わなければならなかった。水道の水で洗う包丁やまな板も不潔というわけで、「サラダや生もの、ジュースや氷を食べないでください。腹痛を起こします」と、添乗員は口うるさく注意するので、一切生ものは口にしなかった。お陰で帰国してからも私たちの体調はすこぶる良かったが、一緒に旅した人の何人かは、ジュースや生野菜などで、腹痛や軟便を訴えていた。 (文責)    武本 睦代

食べ物 イラスト

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