プラザの研究所・市民研究員に期待すること
財団法人千里リサイクルプラザ事務局長 三浦 正紀  
 平成16年以来3年振り、再び環境の仕事に戻ってきました。これまで中身も判らず批判的な目でしか見ていなかったリサイクルプラザ、その理由はリサイクルというと人類の生産活動により吐き出された負の遺産を一所懸命頑張って処理するという環境問題に対して消極的なイメージを持ってしまいます。もう少し攻めの姿勢、ポジティブな印象を市民に与えられないものかと考えていました。しかし、外から見るのと中に入って見るのとではかなり印象が違っていました。僅か20日程度の勤務で余り大きなことは言えませんが、私なりに感じたこと、考えていることを以下に述べさせて頂きます。
 くるくるプラザの中核は何と言っても市民研究員という名のボランティアです。プラザの盛衰はこの市民研究員の活躍にかかっていると言っても過言ではないでしょう。
 ではボランティア活動とはいかなものか。昨年高知県立牧野植物園を訪問し、そこのボランティアと意見交換を行う機会を得ました。その席で、同園の小山鐵夫園長、かって米国スタンフォード大学で教授を勤め、スミソニアン博物館のボランティア活動に非常に造詣の深い方ですが、その時のお話に「スミソニアン博物館のボランティアは全くの無給です。高い倍率と厳しい試験を受けてきて、採用されると勤務日もきちんと決まってしまいます。よくそんな条件で来るなあと思うくらいですが、一旦採用されると身分は職員と全く同等で、スタッフ会議、企画会議に出て堂々と自分の意見を言うことが出来ます。その事によって社会に貢献できる、それが彼・彼女らの誇りなのです」と。
 くるくるプラザも設立当初からの主旨である廃棄物減量、資源循環に軸足を置くという姿勢を捨て去るわけには行きませんし環境問題を考える上でも重要な課題であることに変わりありませんが、環境全般からする
 
    
とその1部門であることも事実です。今現在最も深刻なのが化石燃料を消費して排出されるCO2 等による地球温暖化です。このまま進むとツバルやモルディブ共和国は近い将来海の中でしょう。
 この様な視点での行動は平成14年頃から時間をかけて議論されたようで平成17年からはプロジェクト制が導入されて市民研究員活動の活性化がなされてきているということですが、私が漠然と考えていたことが現実には動き出しているということで誠に喜ばしいかぎりです。人に言われて起こす行動は長続きしません。自分の頭で考え企画し、皆で議論してこそ運動の楽しさが生まれてきます。リユース食器の貸し出し、マイバッグ運動等はどんどん輪を広げて欲しいと思います。プロジェクト制の導入は前述のスミソニアン博物館のボランティア組織に近づいてきたように感じます。
 くるくるプラザの弱点はその立地条件と相まって駐車場の無いこと、モノレールの運賃が高いこと等、皆さんが気軽に立ち寄れる場所とは言えない所にあります。しかし、設備はそれなりに整っていますし、主担研究員の先生方にも気軽にアドバイスやお知恵を拝借できる大きな利点があります。この長所を充分生かして頂いて今後の更なる活動に繋げて行って頂きたいと思います。また、他には多くのNPOやボランティア組織があります。それぞれが長所や弱点を持っているこれらの組織との交流を活発化することによって1+1が3にも4にもなるような活動が生まれればすばらしいと考えています。
 この施設が皆さん方の活躍により環境全般に通じた、くるくるだけでなく真の意味での環境のメッカ、環境プラザとなる日の来ることを願ってやみません。
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