家電4品目の不法投棄状況(3)
               〜悪徳業者による不法投棄が疑われる〜     市民研究員 山田英樹

ニュース6月号で不法投棄の全国の状況、同8月号で吹田市の状況を報告した。今回は、大阪府
の状況を報告する。尚、府HPから情報を入手できたので今回は担当部門を訪問していない。
1.大阪府全体と、吹田市並びに近隣市の投棄台数をグラフ化。
  ・府全体ではH16年度がピークで右肩下がりは、全国と同じ傾向である。吹田市のピークは3年間
   続き、その後は急激に減っているが、近隣市と傾向が異なっている。
  ・不法投棄台数が急増して急減する傾向は、一般市民によるものとは考え難く、業者による
   投棄と考えた方が説明がつく。

  ・H16年度頃までは家電リサイクル法の認知度の低さ故の不法投棄や、銅等の資源価格の高騰で
   有価物目的の不法投棄が増えたと思われる。一方H19年頃には銅の資源価格も落ち着いたこ
   とから有価物を目的とする仕事の旨みが無くなり、リサイクル法を悪用した現金を目的とする不法
   行為が目立ってきている。即ち不法投棄の動機が変わってきている。
   大阪府の投棄台数  吹田市、近隣市の投棄台数
2.大阪には、「家電リサイクル法」とは別に、大阪府が推進する「家電リサイクル大阪方式」がある。
 家電リサイクル大阪方式は、家電リサイクル法がメーカー主体であるのに対して、従来の再生事業者の
 リサイクル実績を活かした大阪府独自の家電リサイクルシステムです。現在8社9工場が登録さ
 れて独自の再資源化に取り組んでおられます。(連絡先は大阪府HPに載っています)
  リサイクル料金は家電メーカーよりは安くなっており、大阪リサイクル事業協同組合の伝票(複写式)
 が手渡され、廃家電品には黄色いシール(管理番号付き)が貼りつけられます。
この2つの方式は、それぞれ経産省と大阪府が管理され廃家電の再資源化へのシステムが
できています。また複写方式の伝票が発行されて追跡調査ができるような仕組みがあります。


3.一方で家電リサイクル法の下で再資源化される廃家電は全体の50数%と推察されている。最近は
 法の抜け穴を利用したり、家電リサイクル法を悪用した不法行為や不法投棄が問題になってきている。
  国民生活センターのHPによると、「廃家電の無料回収」とか「家電を引取る」とのアナウンスをし
 ながら巡回している軽トラックによるトラブルが急増している。
   ・「廃家電の引き取りで無料と思って頼んだら、車に積んだ後でリサイクル料がかかると言われた
    「業者が回収した物が不法投棄されていた」等々の被害報告がされている。
   ・吹田市立消費生活センターにも上記の被害が報告されており、啓発のチラシが出ている。
   ・この不法行為はH21年12月に特定商取引法が改定され、行政処分ができるようになった。  
    (今年8月5日の新聞に消費者庁が、警察に悪徳業者を告発したとの記事が掲載された)
       
今まで食と家電Pでは、家電リサイクル法の市民への啓発をテーマと考えて調査してきたが、
一般市民による家電の不法投棄はあるものの、投棄されている規模や悪質性から、かなり
のものは悪徳業者による不法投棄と考えられる。不法行為に対し、行政による市民への
啓発活動が必要であろう。
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