(株)エフピコ
 中部リサイクル工場 見学

         市民研究員 馬場 慶次郎
 市民とお店をエコでつなぐPTでは、店頭回収された食品トレーや透明容器の再資源化の取り組みを学ぶため、7月18日(水)、岐阜県安八郡輪之内町にある(株)エフピコさんの中部リサイクル工場の見学・研修を行いました。
消費者の意識向上の想いも込めて、工場見学の受け入れにも積極的とのこと。多くの学生や消費者団体が訪れるので、説明・案内には手慣れておられました。スクリーンを使っての概要説明、工場内の施設見学、質疑応答をさせて頂きましたが、当日は我々が最後の団体だったこともあり、質疑応答の時間を1時間以上オーバーしても丁寧にお応え下さいました。関係皆様に心より感謝申し上げます。
 エフピコさんは簡易食品容器製造の最大手であり、リサイクル業社ではありません。しかし、生産者責任の考えのもと、1980年から使用済みトレーの回収に着手し、1990年には回収したトレーを再生原料として使用するリサイクルトレー「エコトレー」を開発。今では「エコトレー」の割合が自社の汎用製品の7割を占め、全国で使われる食品トレーの2割が「エコトレー」とのこと。第一次マテリアルリサイクルを実現する「トレー to トレー」のシステムは独自のもので、「エフピコ方式」と呼ばれているそうです。
 店舗から回収したトレーは全国に9か所ある選別センターで素材ごとに分けて減容圧縮し、全国3か所のリサイクル工場に運ばれ原料ペレットになります。中部リサイクル工場は選別センターの役割も併せて担っており、どちらの工程も一度に見学することができました。
 PSトレーの選別過程は、まずは手作業で白トレーと柄トレーに分けていきます。納豆パックや即席麺の容器、ラベルが付いたままのものなどリサイクル不適合品は除かれていきます。
 
 
エフピコさんは障がい者雇用にも力を入れていて、この過程に多くの障がい者の方が配属されていました。その後は、大型の機械が建ち並び、洗浄や破砕工程を経てペレットに。このペレットとバージン原料の端材を混合し、エコトレーの原料となります。柄トレーは食品容器に使用できず、建材原料に回されます。
 一方、透明容器の分別は手作業に加え、近赤外線によって素材を識別する機械を通します。この機械の開発によって今まで困難だった透明容器のリサイクルが可能になったそうです。見た目では全く判別できないOPS、PET、PP、生分解プラスチック(PLA)などを見事に分別していきます。OPSはエコトレーの原料に、PPやPLAは燃焼補助剤になります。
 PETは、使用済みペットボトルとともに透明容器へと生まれ変わります。2010年から本格的に稼働させたPETリサイクルプラントはドイツ製で、全国でここにしかないそうです。回収されたペットボトルを中国など海外に流出させず「地上資源」として活用したいとのこと。きちんと洗浄されていないボトルを、食品容器の原料として再資源化できるまで洗浄するのでたいへんな手間と費用が掛かっています。
 トレーもペットボトルも、しっかり洗浄されていないもの、再利用できないものが分別されず混在していることにより、余計な費用がかかっていることを現場で学びました。飲み残しなどが原因で悪臭もひどかったです。私たち消費者・生活者が、マナーを守って回収に出せば、コストの削減になり、リサイクル市場が経営的にも確立し、循環型社会の実現に近づくのだということを学ばせ頂きました。
職員による企業説明の様子
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説明図拡大 「業界全体出荷量6000t 回収量970t/月 回収率18%」 に対し エフピコは 「出荷2100t/月 回収量650t 回収率30%」(拡大図 )