第2回市民研究員環境講座を受講して
        微生物PT 馬場慶次郎

 

 8月3日(土)、くるくるプラザ講義室に
て、主坦研究員の三浦正紀先生による講座
を受講しました。「環境とは」という演題の
なかで、人口の変動が環境に与える影響に
ついて話してくださいました。たくさんの
グラフや表などの資料を使い、多岐にわた
講座の様子る切り口から考察
されており、非常に
アカデミックな講
義でした。
 「世界の人口上
位国の推移」でこれからアジア、アフリカ
で人口が急増することを確認。世界の人口
は産業革命以降に急速に増加し、現在は約
70億人。2050年には93億人になる
と予想されています。エチオピア、コンゴ
共和国、エジプト、タンザニアなども人口
が一億人を超えるようです。人口の大都市
集中によって生じる生活環境の悪化、国民
を賄おうと工業化を急ぐための公害問題、
増えすぎた人口を養うための水・食糧・エ
ネルギー資源をめぐる問題など、世界の環
境問題の根底には人口問題があると言えま
す。現在でも世界で9億人以上が飢餓状態
にあると言われて、9億人弱の人々が安全
な水にアクセス出来ないそうです。急増す
る人口に対して、いかに十分な水や食糧を
準備するのか、今から考え、世界的に取り
組まなければなりません。
 「日本の人口密度分布」では、狩猟採取
の生活だった縄文時代までは、常緑広葉樹
林が中心の西日本より、落葉広葉樹林が中
心的な東北地方に人口が多かったこと。そ
して、稲作が定着した弥生時代には関東か
ら九州にかけての人口が増え、江戸時代に
は東京、中京、京阪神への人口集中が起こ
っていることを学びました。日本でも人口
 
集中は環境破壊や公害を生み、六甲山は過
剰な人口を支えるため森林伐採が進み、明
治時代には禿山となってしまい、土砂災害
が頻繁に発生したそうです。その後に雑木
林の植林を行い、百年かけて豊かな緑が回
復したとのこと。杉の単一植林でなかった
ことが注目されますし、自然再生は可能で
あることも認識させられます。
 「人口ピラミッド」や「国別合計特殊出生
率」をみましたが、これからアフリカな
どで人口爆発が起こるのに対し、日本をは
じめとする先進国は人口減少段階に入って
講座の様子おり、東南アジアで
もすでに収束傾向に
あるようです。日本
の人口は2050年
には9千万人を下回
り、2100年には5千万人を割り込んで
しまうと推計もあり、そうなれば国内の経
済構造や社会構造は変化せざるを得ず、こ
れも取り組まなければならない大きな課題
です。
 そのような現状を踏まえ、三浦先生の結
論では、世界に薄く広く人口が分布し、地
産地消を重視したエネルギーをあまり使わ
ない社会を目指さないといけないとのこと
でした。地域内で資源循環が実現される持
続可能な社会が目標となります。日本もい
つまでも食糧を海外に依存している訳には
いかないでしょうし、ライフスタイルを見
直し、浪費は慎まなければなりません。近
年、「脱成長」「脱グローバル経済」を志向
し、物質的豊かさより精神的豊かさを重視
する国民総幸福度(GNH)という考え方も広
まりつつあるので、世界がいい方向に向か
うことを期待したいと思います。
 人口と経済、環境が密接に関連しており、
複合的な問題を生み出していることを学ば
せて頂きました。三浦先生ありがとうござ
いました。
 
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