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環境問題市民講座を受講して
       市民研究員 馬場慶次郎
 京都大学名誉教授で、京(みやこ)エコ
ロジーセンターの館長である高月紘先生に
よる「マンガで読み解く環境問題」と題し
た講演を聞かせて頂きました。
 京エコロジーセンターは環境学習と環境
保全活動の拠点として、先進的な取り組み
をしている評判の施設です。また高月先生
は「High Moon」というペンネームで環境
問題に関する1コマ漫画『ゴミック』を描
いておられ、そちらでも大変著名な方です。
講座の様子 今回の講座を個人
的にたいへん楽しみ
にしていたのですが、
ご自身の漫画を使い
つつ、またユーモア
も交えながらで、とてもわかりやすく期待
通りの素晴らしい講演でした。
 まずはご自身の経歴やマンガとの関わり
からお話を始められました。1978年頃に京
都で起こった空き缶問題から環境マンガを
描き始め、環境問題は社会的になかなか人
気がないので、多くの方に現状を知っても
らうために、マンガを活用しておられます。
「地球環境を守る漫画家の会」にも所属し
ておられ、故やなせたかしさんや、ちばて
つやさんと一緒に環境漫画展にも毎年出展
してこられたそうです。
 食糧や水、エネルギーの問題、大量生産・
大量消費型の経済構造、価値観やライフス
タイルの転換など多くの問題点を指摘する
とともに、今後の取り組みについての指針
も示してくださいました。とくに重要とな
ってくるのが、市民、事業者、行政の協働
であり、互いが情報を共有していくことが
大切だと訴えておられます。
 今までは行政が先頭に立って社会を引っ
張るという構図だったが、これからは市民
が先頭に立ち、行政は黒子になってそれを
サポートしていく形に変えていかなければ
ならない。NPOの活用やPFI(民間活
用)も含めた市民と行政とのパートナーシ
ップ型政策が必要とのことでした。
 そして市民の取り組み自体も今までの
「告発型・反対運動」から「参加型・提案
型」に変わらなければならない。自主的取
組や環境保全ボランティア、グリーンコン
シューマー運動などに参加することで、社
会に影響を及ぼしていくことが大切とのこ
とです。課題としては、問題意識のある個
人や団体の横のつながり、ネットワークの
構築と、無関心層へのアプローチを挙げて
おられました。
 市民と行政とのパートナーシップの成功
例として、京都市ゴミ減量推進会議の活動
を紹介してくださいました。多くの市民や
団体が参加し、小学校区単位ごとの地域ご
み減量推進会議も構成されているそうです。
ゴミ収集車や市バスの燃料として再利用さ
れていることで有名な廃食油の回収活動も、
ここで行なわれています。
 市民公募型パートナーシップ事業(予算
50万円のものを毎年12件採用)、2Rエ
コタウン事業(リデュースとリユースに重
点)、かえっこバザール、ゴミ袋有料化、マ
イバック持参運動など、今では全国に広ま
った活動でここから生まれたものもあり、
市民の創意・工夫によって積極的な活動が
行われているようです。
 これからの環境行政は、ハードの整備か
ら、ソフトの整備へと重心が移っていくと
も仰っておられました。京エコロジーセン
ターでも、人づくり、交流、活動支援の重
点を置いているそうです。我々のくるくる
プラザの今後の活動の方向性にもとても参
考になることだと思います。
 多くの気づきを与えてくださった高月先
生に心より感謝申し上げます。
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