環境問題市民講座を受講して
        市民研究員 馬場慶次郎

 2月18日(水)、環境問題市民講座が開催
され、市民研究員をはじめ多くの市民が参加
しました。講師は環境省認定の環境カウンセ
ラーである関本秀一先生で、「ごみ問題から地
球温暖化防止への道すじ」と題したとてもわ
かりやすい講座を拝聴しました。
 先生は20代で国際ボランティアに参加し、
世界の地域紛争の背景に食糧、環境問題が大
きく関わっていることを知り、環境問題に関
心を持つようになったそうで、環境政策を学
びたいと36歳で関西学院大学総合政策学部
に編入され、大学、大学院ではヒューマンエ
コロジーを専攻されました。兵庫県三田市を
中心に、生ごみの循環システムの構築や、ゴ
ミ減量化、環境保全型農業の推進などに取り
組んでおられ、環境計画、環境教育、市民活
動、町づくり、地球環境問題など幅広い分野
に関して、全国の自治体で実体験に基づいた
講演もしておられます。
 講演では、まず今の地球が抱える一番の問
題点として「ゴミ捨て場がない」ということ
を掲げられます。少し意外な問いかけでした
が、それは埋め立て地のことを指すのではな
く、我々人類の活動によって、生態系が本来
保有する浄化能力を超えた廃棄物を出し、汚
染を起こしているということでした。その「ゴ
ミ」の中には温室効果ガスも含まれます。
 ゴミ捨て場である地球は有限で、地球内で
発生したゴミは地球の外には捨てられません。
ゴミは焼却しても、焼却灰(スラグ)と水蒸
気とガスに姿を変えるだけで、決してなくな
りません。そのガスが地表80kmの空気循環
圏に滞留することで地球温暖化を引き起こし
てしまいます。
 今後の世界の人口は、2050年に96億
人になるとの予想もあるように、更に爆発的
に増加するとみられ、ひとり当たりの資源・

 
エネルギーの使用量が変わらなくても、全体
の使用量は大きくなり、それだけ排出するゴ
ミも増えてしまいます。
 関本先生は、北極海の氷が解ければ、アル
キメデスの原理により直接の海面上昇はしな
くても、海の面積の増加による熱吸収が進み、
さらなる温暖化が進むと指摘され、海面上昇
に対し、大いに警鐘を鳴らしておられました。
 仮にIPCCの予測のように海面が1m上昇し
た場合、大阪市内の多くが水没してしまいま
す。東南海地震による津波のリスクも高まる
中、「ゴミを減らしますか?それとも、税金を
はらって巨大な堤防をつくりますか。」という
ことを真剣に考えなければならないことでし
ょう。
 関本先生は、我々にできることは身の回り
のゴミの減量からだと言います。吹田市は1
人1日あたりの一般ごみ排出量では全国平均
を下回っており、市民によるごみ減量やリサ
イクル推進活動も活発です。しかし、東京の
小金井市や静岡の掛川市など、さらに環境行
政が進んでいる自治体もありますので、吹田
市も頑張らなければなりません。
 最後に、
リサイクルの
落とし穴の話を
されました。
リサイクルに
懸命になる
前に、ごみ全体の発生抑制が最も大切である
との指摘です。資源ごみも含めた減量化(リ
デュース)、再使用(リユース)、修理(リペ
ア)、さらに森林保全など、リサイクル前にす
べきこと、できることはたくさんあるのです。
我々の日常活動そして、経済活動そのものを
見直すことが必要です。
 多くの気づきを下さった、大変素晴らしい
講演でした。関本先生、ありがとうございま
した。
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