環境問題市民講座を聴講して 市民研究員 菊田 善雄 市民研究ニュース再掲載 3月7日、環境問題市民講座が勤労者会館 で開催されました。今回は「諸外国のエネルギ ー事情と暮らし」と題して、我が千里リサイクル プラザ主担研究員の三輪信哉先生が講演さ れました。 前半は日本のエネルギー事情、後半は諸外 国のエネルギー事情の話でした。 まず、日本のエネルギーの話で少し意外だ ったのは、家庭部門用途別エネルギー消費量 の比率が“家電・照明他”36%、“暖房”25% に対して“冷房”が1.8%で、年間でみると少な いなあと感じました。やはり、家電・照明は使わ ない時はこまめに消すことが大事だと思いまし た。又、1970年から2010年で日本の人口が 22%増に対して家庭でのエネルギー消費は 2.8倍になっていることには驚きました。 エネルギー問題では原子力エネルギーに関 して話されていました。特に放射性廃棄物の 問題として、青森県六ケ所村の「低レベル放射 性廃棄物埋設センター」では、一年間に約 1000本のドラム缶の廃棄物が出て約300万 本埋める計画で300年管理するということで、 現在約133万本保管されているようです。 「高レベル放射性廃棄物」に関しては、使用 済み燃料棒をプール内水中に5年以上30〜 35年貯蔵し、その後ガラス固化体貯蔵を30〜 50年行ない、地層処分施設で10万年〜100 万年埋設するという気の遠くなる話でした。 六ケ所村再処理工場は、1993年着工以来 事故や故障の連続で今でも未完成であり、建 設費も当初7800億円の予定が2兆2000億 円にも膨れ上がっているそうです。 今後も原発を継続すれば年間1000トンの使 用済み燃料が発生し、再処理工場を期限いっ ぱい40年間操業しても今まで累積した使用 済み燃料1.7万トンも考慮すると全量再処理 |
は不可能とのことです。あと、6年で保管できる 燃料棒は満杯になるとのことで、早急に検討 すべき課題です。 続いて諸外国のエネルギー事情の話に移り ました。 最初に、フランスは原発比率が74%で現在 58基の原発が稼働中ですが、昨年大統領が 変わって原発事故に対する不安もあり、2025 年までに原発比率を50%にして再生可能エ ネルギーの比率を現在の15%から2020年ま でに23%にする予定とのことです。 ドイツは現状では原発比率が18%で再生 可能エネルギーは20%ですが、福島事故の 後、脱原発を国民の70%が支持し2022年ま でに全原発を廃止する予定で、代わりに再生 可能エネルギーを2020年に35%、2050年 に80%にする計画だそうです。 デンマークでは、チェルノブイリ事故以前に、 政府は原発のないエネルギー政策を選択して いて、再生可能エネルギーへと大きくシフトし、 現在ではエネルギー自給率100%とのことで すばらしいと思いました。 フィンランドは、原発を重要なエネルギー源 と考えていて、今後10年で原発比率が50% になるとのことですが、使用済み燃料全量を国 内で処分し、廃棄物も自国内で最終処分する と法律に明記しているようで、これにも感心しま した。 最後に中国の状況ですが、現在13基の原 発が稼働中で、建設中のものが26基、建設計 画のものが51基あるそうです。原発の建設予 定地が沿岸部に多いということで、事故がおき れば明らかに日本への影響が出てくるのが恐 ろしい問題だ、と思いました。 今回の講座を聞いて、放射性廃棄物につい ていろんな事がわかりました。脱原発に関して は賛否両論ありますが、廃棄物の問題は大変 重要な問題で避けて通れない問題だと思いま した。日本の英知を結集してこの問題に取り組 んでいかなければ・・・と思います。 P2 →次のページに続く 4月に戻る TOPに戻る |