パナソニック・家電リサイクル工場の見学 (市民研究ニュース21年8月号再掲載) 家電廃棄・リサイクルの市民啓発活動の参考にするため、家電リサイクル工場として評価の高い、 パナソニックエコテクノロジーセンター梶iPETEC)を見学した。パナソニックOBの米重研究員に ご紹介していただき、当日はパナソニック本社から家電リサイクルの責任者の大藪室長もご同席 され、PETECの冨田社長とお二人から工場見学と家電リサイクルについて貴重なお話を伺った。 まず驚いたのは工場建屋の外部に廃家電は全く無く、工場の外観はハイテク工場に見えた。 工場内部の見学コース周辺は、テレビ、洗濯機・衣類乾燥機、エアコン、冷蔵庫・冷凍庫の4品目に それぞれ対応する専用のラインが敷設されており、見学コース周辺は手解体作業で人手がかけら れていたが、工場全体は機械化、自動化が進んでおり、またホコリ対策の労働環境改善設備も備 わり、多額の設備投資をした工場との印象を受けた。 また、工場での高い再資源化(リサイクル)率 (TV、エアコンは89%)や、消費者から小売店経由で 廃家電を引き取り工場まで運搬する運営システムも機能している状況を聞くと、貴重な資源を 回収するために、リサイクル料金と収集・運搬費用を消費者が負担することに納得した。 この工場は狭い意味のリサイクル工場ではなく、リサイクルのノウハウ等を商品開発にフード バックしたり、設計者が開発商品を持込んで事前に解体性を検討するなど、単なるリサイクル工場 ではなく商品開発を巻き込んだ機能に進化しているようだ。 現在、家電4品目の廃棄対象数量の約50%程度がリサイクル工場に持ち込まれているが、残りは リユース(7年以内)市場や産廃ルートに流れているようだ。貴重な資源の回収と不法投棄を防ぐ ためにも使用済み家電品は、リサイクル費用を負担し小売業者に引き渡すようにお願いしたい。 . |
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工場概況の説明内容と課題についてまとめた ■再商品化(リサイクル)処理台数は、08年度 75万台、09年5月まで累計554万台。 ■地域社会との共存を重視されている。 リサイクル工場の理解を得るため地域社会 との意見交換、支援、参画を図っておられ、 福祉工場への作業支援もあると。 ■開かれた施設として見学者を積極的に受け 入れ、08年度に13,108名を受け入れ。 最近は海外からの見学者が増えていると。 ■リサイクル技術開発が進められている。 一括破砕処理物から鉄、銅、アルミに他にでき るだけ多くの金属を回収する技術や、シュレ ッダーダストから樹脂を分離する技術を 開発・導入されている。 ■リサイクル率の課題 現在、ブラウン管TVのリサイクル率の実績 |
は89%(基準が55%)であるが、ブラウン管 ガラスは鉛が含まれているためブラウン管TV にしか使えない。今後同TVは減少傾向に ありリサイクル率が悪化する傾向と。 (リサイクル率(%)=有価物重量/廃棄物重量) ■困りごと 家電リサイクルを「廃棄」と勘違いされて、冷 蔵庫の中に食品が放置されたり、洗濯機の中 に産廃ごみが入っていることがあり、困ってい ると。啓発をお願いしたいとの要望があった。 冨田社長の 説明を聞く 大野、山田、 下村、米重 食と家電のTOPに戻る (参考)上の説明画面の拡大図 |